thumbnail 一問一答の一歩

0.速算式を使わない報酬額の計算式の覚え方

宅建士試験の報酬額限度の計算は一般的には暗記事項が多く面倒な単元の一つである。

まず、一般的なサイトでよく解説されている媒介における税抜価格の暗記事項は以下の通りである。

  • 200万円以内 代金合計の5%
  • 200万円~400万円以内 代金合計の4%+2万円
  • 400万円~ 代金合計の3%+6万円

この方法をとった場合、丸暗記しないといけないことは以下の3つとなる。

  • 計算方法がかわる境界線
  • 割合の数字
  • 補正用の数字

……覚えることが多い

しかし、実は捨てることの出来る暗記事項が存在する。私が受験生時代に使っていた本サイトの方法は速算式とは異なるため、計算は簡単ではなくなる。しかし、最小限の丸暗記ですみ、忘れることのない報酬額計算方法の数学的な覚え方について説明している人が誰もいなかったので情報共有する。具体的に覚えなくて良いものは以下の通りである。

  • 補正用の数字

1.補正用の数字を覚えずに報酬限度額を計算する方法

方法を早速説明すると、

「境界線以下の金額は境界線以下の報酬割合で検索する」

……と言葉だけで説明しても非常に分かりにくいと思うので、例をあげて説明する。

例として数字として500万円だった場合は以下のようにして考える

1-1:200万未満の部分、200万~400万の部分、400万円超の部分に分ける

取引金額が500万円の場合は、

200万円以内の部分……200万

200万~400万円の部分……400~200=200万円

200万円を超過している部分……500万-400万=100万

1-2:場合分けしたそれぞれの金額に各報酬割合となる数字をかける。

報酬割合となる数字を確認しておくと、以下のようになる。

~200万円 5%

200万円~400万円 4%

400万円~3%

このため、取引価格が500万円の場合、一つ前のプロセスで計算した数字を以下のように計算する。

200万円以下の部分:200万×0.05=10万

200万円~400万円の部分:200万×0.04=8万

400万円超の部分:100万×0.03=3万

1-3:場合分けごとに算出した数字を合計する

仮に取引価格が500万円だった場合は、一つ前のプロセスの数字を用いて以下のようになる

10万+8万+3万=21万円となる

私が受験時に使っていた報酬額計算の考え方に関しては以下の通りである。

ここでは取引額が400万円超の場合で計算を行ったが、仮に取引額が200~400万円である300万円だった場合には以下のように分割して同様の計算をすればよい。

~200万円の部分:200万円

200万円~400万円の部分:300万-200万=100万

400万円超の部分:400万円を超過していないので、0円

2.まとめ

解き方に関しては以上の通りである。

なお、一般的な解き方と比較すると特徴は、以下の通りである

○メリット

  • 丸暗記の量を減らせる。
  • 万が一補正金額を減らしても対応できる

○デメリット

  • 解くための計算時間が増える(宅建の試験は時間はそんなにはないため)
  • 解き方を理解するのが大変。

説明としては以上であるが、以下、補足として上記の解き方をしても問題ないことの数学的な証明を2通り載せておく。

補足1関数的な証明

報酬額の暗記事項を再喝すると以下の通りである。

200万円以内 代金合計の5%

200万円~400万円以内 代金合計の4%+2万円

400万円~ 代金合計の3%+6万円

これは代金合計をp、報酬限度額をyとすると以下のように報酬額yは代金合計xの関数となる。

200万円以内 y=0.05p

200万円~400万円以内 y=0.04p+2万

400万円~ p=0.03x+6万

これを図で表すと、以下のようになる。

補足2.代数的な証明

(1)200万円以上400万円以下の場合

pを取引価格とした場合、本ページで紹介した解き方を数式化すると以下のようになる

※○万のことは以下○×10^4と記載する

(0.05×200×10^4)+{0.04×(p-200×10^4)}

上記の式を変形していくと以下のようになる

(0.05×200×10^4)+{0.04×(p-200×10^4)}

=(0.05×200×10^4)+(0.04p-0.04×200×10^4)

=(0.05×200×10^4)+0.04p-(0.04×200×10^4)

=10×10^4+0.04p-8×10^4

=0.04p+10×10^4-8×10^4

=0.04p+(10-8)×10^4

=0.04p+2×10^4

0.04は4%10^4は1万を表していることから、一般的な求め方の式と一致しているといえる。

(2)4万円以上の場合

(1)と同様に、解き方を数式化して変形すると以下のようになる

(0.05×200×10^4)+(0.04×200×10^4)+{0.03×(p-400×10^4)}

=(0.05×200×10^4)+(0.04×200×10^4)+(0.03p-0.03×400×10^4)

=(0.05×200×10^4)+(0.04×200×10^4)+0.03p-(0.03×400×10^4)

=10×10^4+8×10^4+0.03p-12×10^4

=0.03p+10×10^4+8×10^4-12×10^4

=0.03p+(10+8-12)×10^4

=0.03p+6×10^4

0.03は3%10^4は1万を表していることから、こちらも一般的な求め方の式と一致しているといえる。

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