thumbnail 一問一答の一歩

問題1

ベクトルaに対して内積を計算した値がスカラーcより大きくなるベクトルのことはベクトルaとスカラーcに対して何というか?

上半空間が正解です

ベクトルの問題では、内積の値を境目にする時は0が使われる時が多いので、0を例にするとベクトルaに対しては以下のように言えます。

  • af>0……fはベクトルaと0に対する上半空間
  • af=0……fはベクトルaと0に対する超空間
  • af<0……fはベクトルaと0に対する下半空間
また、内積の値を基準に2次元空間や3次元空間などを2つに分割しているものであることから半空間と呼ばれています。

問題2

多変数関数f(x,y)において2階微分したものを微分した変数ごとの行と列に対応させて書いた行列

ヘッセ行列が正解です

f(x)を2階微分をしたものについての表記方法には以下のものがあります。

  • ・初めにxで微分、その後xで微分:fxx
  • ・初めにxで微分、その後yで微分:fxy
  • ・初めにyで微分、その後xで微分:fyx
  • ・初めにyで微分、その後yで微分:fyy
2階の偏微分は4種類あり、計算などで並べて書こうとすると、以下のように書くと整理しやすいように思えます。
  • fxx、fxy
  • fyx、fyy
そして、この並びを行列化したものがヘッセ行列と呼ばれており、極大、極小値などを求めるのに約にたつらしいです。

問題3

XYZ空間F(x,y)に対してXY平面上に(∂f(x,y)/∂x,∂f(x,y)/∂y))を割り当てたもの

Gradが正解です

Gradは勾配ベクトルとも呼ばれており、∇とも表されることもあります。
図形的な意味としてXY平面上の矢印を考えるというよりは、X軸方向に1増やした時のf(x,y)の増加量、Y軸方向に1増やした時のf(x,y)の増加量の対応を作ったものと考えた方がイメージしやすいです。

問題4

座標を定義することの出来る空間のことを何というか?

多様体が正解です

多様体の例としては以下のようなものがあります。

  • ・球面(緯度と経度で表せる)
  • ・円錐(経度と高さで座標を表せる)

問題5

正則でない関数において、微分出来なかったりそもそも定義出来ないなど、特別扱いする必要のある点

特異点が正解です

特異点のある関数を考えるには、下記の式の反比例が分かりやすいように思えます。(ただし、aは0でないとする)

  • y=a/x
このとき、x=0上にある点は0除算になってしまうことから関数として定義されておらず、特殊で異なる扱いされていることから特異点と呼ばれています。

問題6

領域のうち、虫食い状の形でないことを何というか?

単連結が正解です

単連結をもう少し詳しく説明すると、領域のうち程よくズ-ムアウトした時に、一つの点であるように見えるもののことを指します。
当てはまっていないものの例として代表的なものにはドーナッツ形の図形が挙げられます。

問題7

1次関数や2次関数ような、関数f(x)に対してx軸のどの部分を用いても演算が定義されて、同じように計算できる状況のとき「x軸は何である」と呼ばれるか?

ホモトピーが正解です

ホモトピーをもう少し簡潔にあらわすと、「写像が連続される領域」を示してます。
正確性は落ちますが、全ての数を定義域にもつと考えるとイメージはしやすいとは思います。 このとき、実数上の数直線(1次元空間)がホモトピーといえるかどうかは以下の通りです

  • ・ホモトピーになる:1次関数、2次関数におけるx軸、
  • ・ホモトピーにならない:反比例、f(x)=tanxにおけるx軸
  • ※反比例はx=0で定義されておらず、tanxはx=2nπで定義されていない。
なお、本題では、1次元空間であるx軸で考えましたが、必ずしも1次元空間である必要はなく、複素数平面や多変数関数などのより高い次元の領域であっても適用できます。

問題8

ベクトル関数において、各点の(流入量)-(流出量)を示した記号はどれか?

Divが正解です

Divは平面ベクトルや空間ベクトルの各点について値を示すスカラーであり、電磁気学や電気工学でも時々使用されます。
平面上のベクトル関数F(x,y)=(fx(x,y)、fy(x,y))があるとすると以下のように表されます。

  • DivF(x,y)=∂x(x,y)/∂x+∂y(x,y)/∂y
Divを無理矢理大学入試に役立てようとすると、数学よりは物理で使う方が役に立ち、具体的には以下のことを数式表現するのに使われます。
  • 電気は電圧の高いところから低いところに流れる。
  • 磁力線は常に一周しており、N極とS極は必ずセットで存在する。

問題9

ベクトル関数において、その点を中心として回転をするベクトルを示すベクトル関数を示す記号はどれか?

Rotが正解です

f(x,y,z)=(fx(x,y,z),fy(x,y,z),fz(x,y,z))と表示されるベクトル関数を考えます。 このとき、
Rotf(x,y,z)の式は下記のように表されます。

  • Rotf(x,y,z)=(∂/∂y-∂/∂z,∂/∂z-∂/∂x,∂/∂x-∂/∂y)
ただ、式が複雑でおぼえにくいので、以下の記号を用いて、下記のように理解すると導出しやすいように思えます。
  • ∇=(∂/∂x、∂/∂y、∂/∂z)
  • Rotf(x,y,z)=∇×f(x,y,z)

問題10

領域が分割されておらず一つにまとまっていること

連結が正解です

領域のどの点をとっても、領域内の他の点と領域内に引いた曲線を用いて結ぶことができることから連結と呼ばれています。
イメージとなる領域の形の例をあげると以下の通りです。

  • ・連結である例:向きが反対の放物線によって囲まれた領域
  • ・連結でないものの例:二重丸状の図形

問題11

空間微分演算子 (∂/∂x、∂/∂y、 ∂/∂z)で表される空間微分演算子は何と呼ばれているか?

∇記号が正解です

ベクトル関数でよく計算される量には3種類あるのですが、ぐちゃっていていちいち覚えてられないので覚えるなら∇(ナブラ)記号を使って覚えるようにすると導出がまだ頭に入りやすいように思えます。

  • ・Gradf(x,y,z)=∇f(x,y,z)
  • ・Divf(x,y,z)=∇・f(x,y,z)
  • ・Rotf(x,y,z)=∇×f(x,y,z)

問題12

集合を領域を用いてあらわしたときに、領域に凹みが存在しない図形になっていること

凸集合が正解です

凸集合という言葉は言葉に集合とついてはいますが、どちらかと言うと図形と方程式における領域に関する言葉と位置づけた方が分かりやすいように思えます。
凸集合を領域として見た時にどこを見ても凸となっていることから凸集合という名称になっています。
また、凸集合となっている領域の例をあげておくと以下の通りです。

  • ・凸集合である:半径1の円の内部
  • ・凸集合でない:ブ一メラン型、三日月型(向きが同じ2つの放物線に囲まれた領域など)

問題13

指定した点からベクトルabと0以上のスカラーs,tを用いて、sa+tbで表すことのできる領域のことを何というか

が正解です

2つのベクトルの一次結合の式において、ベクトルの係数が全て正であった場合は始点から2つのベクトルにそってとんがった領域になります。
この始点の部分がとんがっている形は、三角錐の尖っている性質と似ていることから錐と呼ばれています。

問題14

2つのベクトルabと0以上のスカラーs、tに対して、法線ベクトルa2b2の一次結合sa2+tb2で表される位置ベクトルの領域のことを何というか?

極錘が正解です

ベクトルの一次結合では、スカラー倍の部分が、両方とも正である場合の一次結合の領域は三角形状に先端が尖った形なることから、錘と呼ばれています。
そして、法線ベクトルで作った錘は特殊であるため、「極錘」と名前がつけられています。