thumbnail 一問一答の一歩

問題1

複素数平面において、指定した点を中心に半径1の円の曲線を積分範囲にして積分した値

留数が正解です

少し意味が分かりにくいと思うので補足しておくと、状況として定義域となる複素数平面をとり、任意の複素数平面に対して、必ず値が実数になるf(x)を考えます。
複素数平面上を底面とする半径が1で、高さがf(x)の円柱の側面積の値がf(x)に対する留数と呼ばれます。
また、留数はResの記号を用いて表されます

問題2

ネイピア数eと虚数単位iと円周率πの関係式は何と呼ばれるか?

オイラーの等式が正解です

ネイピア数をe、虚数単位をi、円周率をπとおくとオイラーの公式は以下の通りです。

  • eπi=1
オイラーの等式は個人的には数学で美しい公式のひとつだなぁと思っています。(数学に美学を持ち込まれても困るかもしれませんが……)
ちなみに、何がすごいのかというと、ネイピア数e,虚数単位i,円周率πはそれぞれ微積分、方程式、図形とそれぞれ別の文脈で誕生し、それぞれの分野で重要な役割をはたしています。
そのような本来別々なものであり、一見交わりそうにないはずのものが3つ同時にま交わることそれ自体が奇跡であり、しかもそれだけでなく、緻密な理論が元になってシンプルな式にまとまっているのが偶然なのか必然なのか分からなくなるような珍しさだなぁとか思ったりします。(個人の感想です)

問題3

定義域の全ての点において、関数が微分可能であること

正則であるが正解です

関数が正則であるかどうかは定義域が複素数平面となっている場合では時々確認事項となるので、「正則である」と言われて意味が分かるようにしましょう。

問題4

複素数平面において、iをかけることの意味

90°回転移動するが正解です

複素数平面において、実数は横向き、虚数は縦向きに設定されています。 そして、虚数単位iをかけることは以下のような変換をすることと同じです。

  • ・正の実数部分→正の虚数部分
  • ・正の虚数部分→負の実数部分
  • ・負の実数部分→正の虚数部分
  • ・負の虚数部分→負の実数部分
これらは、複素数平面において偏角が以下のように対応しているため、回転移動が適切です。
  • 0°→90°→180°→270°→0°

問題5

直交座標を用いた積分(重積分)と極座標を用いた積分(線積分)を相互に変数変換する公式

グリーンの定理が正解です

グリーンの定理は積分対象となる曲線の方程式が媒介変数により表示されるという状況のときに使われるもので、多変数関数の積分や複素数平面の積分では知っておくと役に立ちます。
また、グリーンの定理の特殊形を大学入試の問題での使い方として分かりやすく紹介しているものがあったのでリンクを共有します。

問題6

微分可能な関数の積分において、積分範囲の始点と終点が同じ位置にある場合、定積分の値は経路に関わらず必ず0になることは何と呼ばれるか?

コーシーの積分定理が正解です

f(x)が微分可能な関数である場合、コーシーの積分定理は要は以下のことを言っています。

  • aaf(x)dx=0
また、コーシーの積分定理は複素数平面においても成立するので、積分範囲の始点と終点が一致する以下の積分についても等式が成り立っています。
  • ∫f(x)dx=0
また、経路に関わらず始点と終点が同じであれば定積分の結果は必ず同じになるということもセットで使われるので、合わせて覚えておきましょう。

問題7

無限等比数級の逆であるテ一ラ一展開を複素数でも使いやすいように拡張したもの

ローラン展開が正解です

テーラー展開は等比数列の和の公式の逆のイメージであり、関数の近似に役に立ちます。
それを定義域が複素数であり、なおかつ一部微分可能でない場合でもテーラー展開と同じように計算できるように工夫された式がローラン展開と呼ばれています。
なお、数式に関してはこの場で解説するとどうしても難しくなってしまうので、分かりやすいサイトのリンクを共有するにとどめておきます。