thumbnail 一問一答の一歩

問題1

多変数関数において、複数の文字で積分すること

重積分が正解です

多変数関数の積分は複数回重ねて積分することから重積分と呼ばれています。
計算のイメージとしては偏微分と同様に、対象となる文字以外は全て定数と扱って計算を行います。
また、偏微分の式の表記は以下のようになされます。

  • ∬f(x,y)dxdy
また、他の選択肢の意味についても説明しておくと下記の通りです。
  • ・広義積分……無限を含む積分
  • ・周回積分……積分範囲の始点と終点が事実上同じ場所にある状態の積分

問題2

高校で習うリーマン積分は図形の面積を意味しているが、定義に基づくとどんな風に図形を分割して面積を求めるイメージか

シャー芯を縦向きに並べるが正解です

高校でやっているリーマン積分の厳密な理屈は以下の通りです。

  • ・図形をシャー芯並みの縦長の長方形に分割する
  • ・シャー芯の面積を全て足し合わせる
なお、高校数学の範囲を超えてはしまいますが「シャー芯を横向きに並べる」というアプローチも存在はしており、それぞれ以下のように呼ばれています。
  • 「シャー芯を縦向きに並べる」イメージ……リーマン積分
  • 「シャー芯を横向きに並べる」イメージ……ルベーグ積分

問題3

多変数関数の変数変換の計算で使用される行列のことを何行列というか?

ヤコビ行列が正解です

例えば、f(x,y)で表されているものを変数r,θを用いてg(r,θ)に変数変換をする場合、ヤコビ行列の行と列は以下のようになります。

  • ∂x/∂r、∂x/∂θ
  • ∂y/∂r、∂y/∂θ
そして、多変数関数の置換積分については、以下の式の形で使用されます。(積分範囲の記載については省略します)
  • ∫∫f(x,y)dxdy=∫∫g(r,θ)×(ヤコビ行列の行列式)drdθ
また、ヘッセ行列は変数変換ではなく、多変数関数を2階微分した時の導関数のパターンを列挙した行列です。

問題4

sinhθの微分係数

coshxθが正解です

双曲線関数の微分係数は以下の通りです。

  • (sinhθ)'=coshθ
  • (coshθ)'=sinhθ
理屈としては、sinhθは下記の式で表されます
  • sinhθ=eθ-e-θ/2
そのため、Y=sinhθとおくと、微分係数は以下のように表されます。
  • dY/dθ=eθ+e-θ/2
ここで、eθ+e-θ/2=coshθであるので三段論法により以下の式が成り立つます。
  • dY/dθ=coshθ

問題5

coshθの微分係数

sinhθが正解です

双曲線関数の微分係数は以下の通りです。

  • (sinhθ)'=coshθ
  • (coshθ)'=sinhθ
理屈としては、coshθは下記の式で表されます
  • coshθ=eθ+e-θ/2
そのため、X=coshθとおくと、微分係数は以下のように表されます。
  • dX/dθ=eθ-e-θ/2
ここで、eθ-e-θ/2=sinhθであるので三段論法により以下の式が成り立つます。
  • dX/dθ=sinhθ

問題6

等比数列などの数列の和の公式の逆を示したものはどれか?

テ一ラ一展開が正解です

無限等比数列の和の公式の逆を一般化したものがテ一ラ一展開であり、テ一ラ一展開の特殊系であるマクロ一リン展開は下記の式で表されます。

  • f(x)=f(0)+f'(0)x/1!+f''(0)x2/2!+f'''(0)x3/3!+……
上記の式にf(x)に初項1,頂比xの無限等比数列の和の公式を代入すると下記のように表されます。
  • f(x)=1/(1-x)
公式に代入すると以下の通りです。
  • f(x)=f(0)+(1/(1-0)2)・x/1!+(2/(1-0)3)・x2/2!+(3×2/(1-0)4)x3/3!+……
  • f(x)=f(0)+x+x2+x3+……
テ一ラ一展開やマクロ一リン展開を使わなければ解けないという問題はあまり見ませんが、下記の状況の時に使われることがあります。
  • ・不等式の証明を行う時

問題7

多変数関数f(x.y)において、複数の変数xyが同時に変化したときのf(x.y)の変化量

全微分が正解です

全微分の式は以下のようになっています。

  • f()=(∂f(x.y)/∂x)dx+(∂f(x.y)/∂y)dy
全微分で求めているのは微分係数や接線の傾きではなくf(x.y)の増加量なので高校の微分と混乱しないようにしましょう。

問題8

積分における1/6公式や1/12公式を一般化したものは何と呼ばれているか?

べ一タ関数が正解です

ベータ関数は以下の式のことを指します。

  • ∫(x一‪α‬)m(x一β)ndx=m!n!(β-‪α‬)m+n+1/(m+n+1)!
  • ※積分範囲は‪α‬→βです
名称はかっこいいので知っておきたい(笑)のですが、積分の計算で一般化したものを知っておく必要性は薄く、以下の2つのパターンのみを知っておけばいいように思えます。
  • ○m=n=1のとき
    • (β-‪α‬)3/3!
  • ○m=2,n=1のとき
    • 2!×(β-‪α‬)4/4!

問題9

-∞f(x)g(x)dx=f(0)が成立する関数g(x)のことを何というか?

デルタ関数が正解です

デルタ関数は超関数と呼ばれている特殊な関数の一つで、他の関数に対して影響を与える関数とされています。
デルタ関数については数学でも使いますが、どちらかというと、物理学や工学でよく出てくる印象です。
私はあまり詳しくないのですが、大学で物理学や工学専攻の友達が時々話していた記憶があります。

問題10

高次の導関数が無限階であっても定義できること

滑らかな関数が正解です

導関数が存在するするということは微分可能であるともいうことが出来ます。
何階でも微分可能であるということは、尖った点がない状態であると言えることから、滑らかであると言われてます。

問題11

n回以上微分可能であり、導関数が連続になることは何と呼ばれるか

Cn級の関数が正解です

Cn級という言葉が出てきた時には要は何回微分できるんだなと理解しておけばいいです。
高校で出てくる関数は基本的にC級に当てはまるのですが、よく見られる級は以下の通りです。

  • ・C1級……最低でも1回は微分できる
  • ・C級……何度でも微分できることが保証されている
なお、余談ですが、級が上がるにつれて、数学的な取り扱いはしやすくなると言われています

問題12

arcsinxの微分係数

1/√1-x2が正解です

逆三角関数の微分係数は以下の通りです。

  • (arcsinx)'=1/√1-x2
  • (arccosx)'=-1/√1-x2
  • (arctanx)'=1/√1+x2
これらはf(x)=arcsinxとした場合、逆関数の微分法と三角比の相互関係の式を用いることで以下のように求めることができます。
  • f'(x)=1/(sinf'(x))
  • =1/cosf(x)
  • =1/√1-sin2sinf(x)
  • =1/√1-x2

問題13

変数変換によって、積分範囲を一周の曲線状で表す計算の工夫

周回積分が正解です

周回積分は多変数関数で使われています。イメージとしては、底面が円となっているものの体積を考えるとイメージしやすいです。
底面を半径rの円、高さがh(x,y)と表情した場合、yをxで表すと以下の通りになります。

  • y=±√r-x
そのため、体積をVとすると、通常の積分の式では以下のように表されます。
  • V=∫(∫√r-xdx-∫√r-xdx)dy
このまま計算してもよいでのすが、極座標表示に変換してあげると以下のように変換できます。
  • ・x=rcosθ
  • ・y=rsinθ
  • ・drdθ=│∂(r,θ)/∂(x,y,)│dxdy
そのため、変数変換の結果、以下の積分と計算結果は等しくなります。(ここでは変数が変わっていることだけ分かればいいので、難しい計算過程は省略しています)
  • ∫∫drdθ
この時の、積分のうち、以下の部分の計算の部分を周回積分と呼んでいます。
  • ∫dθ

問題14

arccosxの微分係数を求める際に使うものとして不適切なものはどれか?

三角比の合成が正解です

逆三角関数の微分係数は以下の通りです。

  • (arcsinx)'=1/√1-x2
  • (arccosx)'=-1/√1-x2
  • (arctanx)'=1/√1+x2
見てわかる通り、特にarcsinxとarccosxの微分係数は形が似ているので、式を丸暗記するよりも作れるようにすることをおすすめしています。
これらはf(x)=arccosxとした場合、作り方については下記の通りです。
  • f'(x)=1/(cosf'(x))
  • =-1/sinf(x)
  • =-1/√1-cos2sinf(x)
  • =-1/√1-x2

問題15

合成関数の微分公式の別名を何というか?

連鎖律が正解です

合成関数の微分に関しては、df(x)/dx,や∂f(x)/∂xの形式で微分した方が形式的な約分ができるため、覚えやすくなります。
なお、合成関数のイメージは以下の通りです。

  • 合成された関数:y=sin2x
上記の関数は以下の基本関数を2つ合成されたと考えることができます。
  • 合成前の関数1y=sinX
  • 合成前の関数X=2x
自分で合成すると言うよりは、微分対象の関数が複数種類の関数が合成されていることを見分けられるようにするのが大切になります。
また、他の選択肢については以下の通りです。
  • ・対照律……関係式の左と右を入れ替えらることができる性質
  • ・推移律……関係式のうち、三段論法が使える性質

問題16

積分してarctanxになるものはどれか?

1/√1+x2が正解です

逆三角関数の微分係数は以下の通りです。

  • (arcsinx)'=1/√1-x2
  • (arccosx)'=-1/√1-x2
  • (arctanx)'=1/√1+x2
Arctanxの微分、積分の関係式についても逆関数と三角形の相互関係を用いて算出します。
これらはf(x)=arctanxとした場合、作り方については下記の通りです。
  • f'(x)=1/(tanf'(x))
  • =cos2f(x)
  • =1/1+tan2f(x)
  • =1/1+x2

問題17

微分方程式を変数変換を用いて解く考え方のことを何というか

ラプラス変換が正解です

微分方程式とは、元の関数と導関数の関係式から元の関数を当てることをいいます。
微分方程式は電磁気における交流回路で電流や電圧を求める方法の一つとしてつかわれています。
微分方程式の解き方は大きく以下の2つがあります。

  • ・特性方程式を利用して解く
  • ・ラプラス変換をする
関数f(x)をラプラス変換したものはL(f(x))と表され、変数がxではない文字の関数になります。

問題18

多変数関数において、一つの変数についての変化の割合を求めることを何というか?

偏微分が正解です

偏微分は変数が2つ以上あるときに使われる微分であり、計算上は対象外の文字は全て定数とみなして微分します。
例えば、f(x.y)=x2y+yをxで偏微分すると、以下のように表されます。

  • ∂f(x,y)/∂x=2xy