thumbnail 一問一答の一歩

問題1

学習者一人一人ごとに異なる学習内容を設定し、学習者が自学を中心に内容をこなしていく教育方法

ドルトン・プランが正解です

ドルトン・プランはパ一カ一ストによって提唱された考え方で、以下の2つが特徴的とされています。

  • ・自由の原理……学習内容を子供のペースに合わせること
  • ・共同の原理……学年を問わない交流を通して他者とのコミュニケーションを測る
同じ年齢でも、学習する内容は生徒によって異なっており、専門科目を深く学ぶことがあるため、理論上は小学生が中学や高校の勉強をすることだってあるというのが特徴となっています。
ドルトン・プランは学校教育では使われていませんが、ドルトン・プランの考え方に近い教育活動は存在しており、例をあげると下記の公文式だったり江戸時代の寺子屋があるのかなぁと理解しています。

問題2

国際的な人材を育てるために高校生の段階で英語を用いた授業の導入や論文作成、課外活動を重視した教育は何教育というか?

バカロレア教育が正解です

バカロレア教育というと、なんとなくバカボンの世界に出てきそうなイメージは割と中身はちゃんとした国際的な教育であり、国際バカロレア教育と呼ばれることもあります。日本でいうと高校生の時期の教育にあたり、一般的な高校と比べると、以下のような違いがあります。

  • ・一部の授業を英語で実施する
  • ・総合的な学習の時間に「知の理論」を学ぶ
  • ・学びの集大成として5科目(国,数,英,理,社)に関する論文の作成
  • ・課外活動の重視
国際色が強めの高校だと、バカロレア教育と日本の学習指導要領を両立した高校もまれに存在してはいるそうです。

問題3

学習者自ら計画を立てて問題解決することを重視するキルパトリックによって提唱された教育方法は何というか

プロジェクト・メゾットが正解です

プロジェクト・メゾットはキルパトリックによって提唱され、学習者が以下の4つを実行することで学んでいく学習方法です。

  1. 目標設定
  2. 計画
  3. 実行
  4. 評価

問題4

フレ一ベルが唱えた、未就学児には遊びと自然の中にいることが大事とした考え方を何というか?

人間の教育が正解です

厳密にはフレ一ベルの教育思想に名前はとくにつけられてはいないのですが、著者である「人間の教育」に問題文の考え方が述べられているらしいので解答としています。
また、自然との関わりでは特に植物を育てることが大切としており、花壇の花がある幼稚園児や保育園はもしかしたらこの考え方の影響を受けているかもしれません。

問題5

科目ごとの境目を取り払った芸術と科学の総合を目指した教育

シュタイナー教育が正解です

シュタイナー教育は科目ごとの境目を取っ払った芸術と科学の総合を目指した教育を提唱しました。
そのため、本来は現在の国の学習指導要領とは異なるものなのですが、無理矢理学習指導要領の枠内で近似したものに例えると、以下の特徴となります。
※小中一貫教育を想定しています

  • ○学年間での音楽と図工の授業時間の入れ替え
    • ・フォルメン……(小学校低学年期に)音楽の授業を多めに確保する
    • ・オイトリュミー……(小学校中学年に)美術の授業を多めに確保する
    • ※5教科(国、数、英、理、社)は高学年~中学で多めに確保してカバーする
  • ○エポック授業……教科の内容を、じっくり奥深く学ぶ
    • ・各科目は2時限連続(90~100分)で行う
    • ・5教科(国数英理社)の授業は一日に何科目もやるのではなく、数週間~1ヶ月単位で同じ科目だけを続け、終わったら別の科目を始める。
    • ・評価はペーパ一テストではなくレポートで行う
シュタイナー教育は日本の学校制度とは大きく異なる制度であり、教頭(管理人)が実践例となる学習塾を知らないので、事例があれば情報提供頂けると助かります。

問題6

教育では、知識の応用、他者との関わり、自律を大切であるとするOECDの考え方のことを何というか?

キ一・コンピテンシーが正解です

OECDによると、大人になってから国や業種に関係なく大切となる能力を下記の3つにまとめています。(見出しは管理人の解釈です。)

  • ・知識の応用……道具を相互作用的に用いる力
  • ・他者との関わり……異質な集団で交流する力
  • ・自律……自律的に活動する力

問題7

自由作文や美術のような、子供のペースによる自己表現を中心とした学習法

フレネ教育が正解です

フレネ教育は学習者中心主義の現在とは全く異なるカリキュラムの考え方なのですが、無理矢理現在の学習指導要領に適合するように近似すると、以下のような特徴を持ちます

  • ・自由作文による自己表現を重視した国語教育
  • ・学習者の興味、ペースに合わせた自己表現を重視する図工、美術教育(アトリエ活動)
  • ・学習者が2~3週間スパンで学習内容も含めた学習計画を立てて実行する。
  • ・美術、国語の自己表現に関する内容では授業らしい授業やペーパ一テストは行わない。
個人的には頑張れば現在の日本の教育の枠組みを拡充する形で実践できそうで面白いのですが、実践するための具体的な方法を考察すると仮に学習塾の形態をとった場合、国語や美術中心となることが予想できますが、需要が少なくて経営の観点から難しいのかなあと思ったりします。

問題8

生徒の理解度に合わせて状況に応じて小グループに分けた教育を行うこと

分断的動的教授法が正解です

分断的動的教授法のイメージとしては学習塾の習熟度によるクラス分けを想定すると分かりやすいように思えます。
基本的に学習者に合わせるために分けるのですが、状況によってはあえて習熟度をごちゃまぜにした集団に分けて教え合うという活動なども想定されていたそうです。

問題9

一斉教育の基礎となる「教育には教師による説明が必ず必要となる」という考え方

ヘルバルト主義が正解です

これは私の解釈ですが、教育は既にある物事(知識や考え方など)をまねることから始まります。そして、既にある物事は先人が長期間かけて発展させたものです。そのため、特に概念や知識のようなものを誰の助けもなしに一人で気が付くのはほとんどないように思えます。(仮に習っているものが間違えている場合は、間違えているというためにも知る必要はある)
そのため、特に学習の初期の段階ではどこかしらでは教員の説明や誘導は必須となると考えています。
また、ヘルバルトによると教育(学習)をすることには以下の効果があるとも述べています。

  • ・強固な道徳的品性……道徳性を身につける
  • ・多面的均等な興味……職業選択の幅を広げる

問題10

デューイによって提唱された、学習者の興味や理解度などの個性に合わせながら学習計画を作成する考え方

学習者中心主義が正解です

学習者中心主義は子供中心主義とも呼ばれることがあります。
日本の公教育では効率性の観点から取られている下記の学問中心主義との対比で考えるといいでしょう

  • ・学問中心主義……学ぶ内容が学習指導要領で最初から決められており、それに合わせて授業を行う仕組み
  • ・学習者中心主義……学習者の興味や理解度に応じて授業内容が決定する仕組み
日本で学習者中心主義はあまりありませんが、歴史的な学習者中心主義の事例としては、江戸時代に吉田松陰が教えていた松下村塾が挙げられます。
なお、理念を受け継いでいるらしい学習塾があるらしいので、リンクを共有しておきます。

問題11

明治維新の学制による一斉授業の導入の反動として出てきた教育の運動の総称は何というか?

大正自由教育が正解です

大正時代は大正デモクラシーを初めとする民主主義運動が活発になった時期であり、それが教育にも派生して、学制として制度化された一斉授業とは異なる教育が多く提唱されました。
また、他の選択肢の2つは教育法学上重要な事件ではあるのですが、どちらも昭和後期に起こった事件であり、明治時代の学制とは無関係なので誤りです。

問題12

近代公教育制度の出発点となるものはどれか?

明治維新の学制が正解です

近代公教育制度の出発点は明治維新の「学制」からとされており、そこから一斉教育の形態が普及し始めました。
なお、一斉授業の教育形態はなかなか進まず、既存の寺子屋式のものを少しずつ変えていったそうです。
また、もう一つの選択肢である大正自由教育は明治維新の急な一斉教育の授業に対しての反動で現れた、自由教育の考え方の総称です。

問題13

カリキュラムの開発と評価は客観的に観察・測定できる「行動目標」に限定して行うべきであるとした考え方

タイラーの原理が正解です

カリキュラムを定める目標を定める場合は目的がはっきりとしたものでないと、教える立場は何をどこまで教えればいいのか分からなくなります。
そのため、何がたりなくて、何を教えればいいのかが分かるように目標は客観的に測定できるものである必要があります。

問題14

スキナ一によって提唱された、小単位ごとの小さな学習を適切な順序で積み重ねていくものと捉える考え方

プログラム学習が正解です

サイトを作っている身からいうと、プログラムの本質は「適切な順番で行うこと」であることからプログラム学習と呼ばれています。
※機械の使用とは関係していないです。

問題15

十分な時間と勉強があれば、いわゆる「落ちこぼれ」が出てこないようにする学習計画

完全習得学習が正解です

また、完全習得学習の提唱者はブルームであるので、余裕があれば合わせておさえておきましょう。

問題16

できることと出来ないことを分類した時に、1人では出来ないが、他の人の支援があればできること

発達の最近接領域が正解です

教師が生徒に説明するときですが、「発達の最近接領域」にあたる部分が説明の中で大事になってきます。
この部分を説明するときには、教師が足場をかけていったり生徒の理解を確認しながら少しずつ進めていくのが大事になると思っています。
また、学習者の発達の最近接領域にあたる部分の発見から理解、定着の補助を重視した授業づくりを重視している場所ちしては明光義塾さんがあるのでリンクを共有しておきます。

問題17

ロックの唱えた、教える前の状態を真っさらな紙のように例える考え方のことを何というか?

タブラ・ラサが正解です

16世紀頃の活版印刷の台頭があったため、教育も活版印刷に例えられていました。
タブラ・ラサの私の解釈では、教える前の状態は知識だけでなく考え方や思考の枠も含めて「分からないのが当たり前」という風に捉えることが大事解釈しています。

問題18

学習として直接教える内容ではないが、教える側の学習形態や伝え方によって間接的に身について欲しいとされる内容

ヒドゥン・カリキュラムが正解です

ヒドゥン・カリキュラムの例としては、学校教育の制度を考えるとイメージしやすいと思っています。
なお、学校のヒドゥン・カリキュラムは以下のものなのかなぁと私は解釈しています。

  • ○明示的なカリキュラム
    • ・教科の知識
  • ○ヒドゥン・カリキュラム
    • ・同年代の人と過ごすことで社会性やマナーを身につける。
    • ・一律に与えられた学習を淡々とこなすことで、労働者になってから適応しやすいようにする。
補足なのですが、今は勉強をやろうと思えば学校に行かなくてもできますし、全員が学校に行くことが当たり前ともいえない時代となっています。そのような中、「学校に行く意味」を改めて考えてみると、上記のヒドゥン・カリキュラムの影響が大きいのかなぁとも思っています。

問題19

教えることは印刷のようなものと例えた考え方のことを何というか?

教刷術が正解です

教刷術という言葉は活版印刷が流行りだした時代背景からコメニウスによって提唱されました。
用語は割とそのままで覚えやすいとは思うのですが、この印刷の例えでは、以下2つのことを言っているのかなぁと私は解釈しています。

  • ・何をどう伝えるかのカリキュラムはざっくりとでも立てておく必要がある。(印刷内容が決まっていないとプリンターは動けないため)
  • ・どんなに優れた教師でも知らないものを教えることは出来ない(プリンターはあくまで文字を写す機能を持つものであるため)

問題20

6人程のグループで、決められたテ一マのディスカッションをする学習法

バズ学習が正解です

バズは「蜂の羽音」という意味の単語から来ており、小集団が活発に動き回っているイメージを持つことができることから呼ばれています。

問題21

ラインによって考案された、現在の学校の授業展開のひな形となっている考え方

五段階教授が正解です

五段階教授は授業展開の雛形となった考え方のことをいい、ヘルバルトの考え方を基にラインによって改良されました。
また、この考え方は現代の授業でも用語が一部変化したものが使用されています。

  • ・導入(←予備を統合)
  • ・展開(←提示、比較を統合)
  • ・まとめ(←総括、応用を統合)

問題22

先生が生徒に誘導するように質問していくことで、生徒に気付きを与える学習方法

ソクラテス・メソッドが正解です

ソクラテス・メソッドは個別塾の授業でよく使用されている印象です。